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Profile

midnight cowboy

midnight cowboyCOMPACT DISC
¥2,400 (plus tax)
VICL-69055 / aosis records / Victor Entertainment,Inc.

 

 

 

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順調にリリ-スを続けるaosisレ-ベルの中心メンバ-によるバンド、「garp(ガ-プ)」の、記念すべきファ-スト・アルバムである。本作を手にされた多くの方がご存じであろうが、このレ-ベルの発起人の一人が、本作でキ-ボ-ドを弾いている新川博。ギタリストの松原正樹は、その良き僚友だ。ベ-ス担当の松原秀樹(ギタ-の松原正樹とは単に名前が似ているだけ。兄弟でも親戚でもありません)も、そしてドラム担当の濱田尚哉も、いずれもが以前から活動を共にしてきたミュ-ジシャンである。aosisレ-ベルの主張や個性を代弁するようなサウンドを聴かせるのが、このバンド、garpなのだ。
簡単に、各メンバ-の紹介をしておこう。まず、キ-ボ-ドの新川博。昭和30年生まれで、学生時代からプロとして活動を始め、Hi-Fi Setや松任谷由実などのツア-やレコ-ディングに参加してきた。2000年にaosisレ-ベルを立上げた発起人である。ギタ-の松原正樹は、昭和29年の生まれ。やはり古くからプロとして多くのレコ-ディングやライヴに参加し、ソロ・アルバムも多く発表してきた。aosisからは2枚のアルバムを発表している。ベ-スの松原秀樹は、昭和36年生まれ。幅広いジャンルの音楽をプレイするが、シング・ライク・ト-キングやスガシカオなどでのバックとしてもお馴染みの、日本を代表するトップ・ベ-シストである。ドラムの濱田尚哉は、昭和31年の生まれ。Hi-Fi Setやドリ-ムズ・カム・トゥル-、稲垣潤一などのツア-やレコ-ディングでも知られる。この4人、お気付きだと思うが、全員が現在は40代の半ば。誰もが20年以上のプロ・キャリアを持っている。当然ながら、あらゆる音楽に精通し、豊かな経験の持ち主ばかりなのだ。こんな男達が集まったら、こんな音が出来上がった、という訳である。
リ-ダ-格の新川は、こう言う。
「もう、前々からの付き合いのメンバ-に集まってもらったんです。誰がどんな音を出すか、前もって判っていました。ですから、最初からバンドとしてのサウンドが聞こえていた、というか。ですので、実際に必要だったのは、スタジオでプレイしながらの微調整だけ、という感じでしたね」
決して、ギンギンのサウンドを聴いてもらおうという訳ではない。ある程度、音楽を聴き込んできた大人の音楽ファン達が、これこそ自分達の求めてきた音楽だ、と感じてもらえるような音楽。それこそが、garpの目指す音楽なのである。ちなみに、このバンド名「garp」とは、何を意味するのだろう? そういう名前の映画があったことは知っているが……。
「実は、僕の事務所にネ-ミングの達人と呼びたくなるような女性がいましてね。今回も彼女に頼んだら、『garpですよ、絶対にgarp!』と言うんで、それで決まりました(笑)。まあ、よくよく考えたら、『グレイト・ aosis・レコーズ・プロジェクト』だと思えば正しいんですけどね(爆笑)」(新川)
何よりも、一曲毎に聴いていくのが彼等の本質を理解する早道だろう。


1. 10cents a dance
大きな期待を抱かせる、素晴らしいイントロだ。そして最初から、ユッタリとした気分になれる。このユッタリ感こそが、garpなのだ。思わず身体が動き出すリズムだが、決してギンギンにならない。大人こそが楽しめる、そして大人こそが演奏し得る音楽なのである。ただし、良く聴き込めば、例えばドラムやベ-スなどが、バックのリズム・パタ-ンの繰り返しの中で、細かくオカズ(フィル・イン)を入れているのが判る筈だ。そうした辺りが楽しめるようになれば、これはもう、立派なaosisファンである。そして、ソロに於ても、テクニックをひけらかすように単純に弾きまくるということをしないのが、本物の大人なのだ。

2. Midnight Cowboy
ちょっとヴェテランのフュ-ジョン・ファンであれば、70年代後半に一世を風靡したニュ-ヨ-クのバンド「スタッフ」を思い出すであろう。彼等の登場は、日本の音楽シ-ンに多大な影響を及ぼしたものだ。初めてと言って良いくらいに、日本人に「グル-ヴ」という感覚を植え付けたのが彼等だった。それまでは、単に早弾きやテクニックを競うような演奏ばかりを繰り返していた日本人ミュ-ジシャンに、全く観点の違った「乗り」という要素を教え、それが如何に大事かを身を以て示してくれたのが、彼等だったのである。その時の驚きと似た感覚が、この曲で味わえる。決して音数は多くない。しかし、見事に音楽としての空間が埋まっている。決してスカスカではない。こうした音楽が、ようやく日本にも誕生したのである。

3. Liquid City
ここまで聴いてきて、もうお気付きだと思うが、garpの音楽には、フォルティシモが皆無だと言って良いだろう。単純に、楽器を大きな音で鳴らすということが必要無いのである。音楽で人に何かを訴える、或いは気分に浸ってもらおうという場合、必ずも音量が大きくなる必要は無いのだ。演奏する側のフィ-リングが最大に聞き手に伝われば良い。そんな見本のような曲が、この曲だと言って良いだろう。誰もが、大きな音を出していない。これは、バンドの4人がお互いを充分に信頼していなければ出来ない演奏なのである。

4. Heads Up
ちょっと浮き浮きした気分になれる曲だ。彼等は、事前に書き込んだ譜面というものを用意していない。スタジオでメンバ-がプレイしながら色々と決めていくそうだ。この曲なども、そうした中で練り込まれていったナンバ-なのだろう。こうした曲でも、彼等は決して音数の多い演奏をしない。そこが彼等の主張の一つでもあるのだ。

5. Say No More
優しいイントロに乗って、少々マイナ-気味のメロディが展開される。必要最小限のメロディだけを持ってスタジオに入ったのでは、と思わせる曲でもある。何回もプレイして行くうちに決めごとなどが出来ていきました的なナンバ-だ。要するに流れが自然なのである。曲の中に不必要な仕掛けや大袈裟なアレンジなどは要りませんという彼等の姿勢が聞き取れるのである。タイトルの、「もう何も言わないで」というのは、彼等が現在の日本の音楽シ-ンに言いたい言葉ではないだろうか。

6. She needs me
軽くミュ-トしたベ-スの指弾きと、シンプルながらも乗りの良いドラムとで始まるこの曲は、繊細なタッチのギタ-と、流れるようなキ-ボ-ド・プレイが印象的だ。でも、途中で挟まれるパ-トでは4ビ-ト的なスイング感も楽しめる。こんな演奏、素人が聴いたら当り前のプレイに聞こえるかも。だが、そうではない。このゆとりと緩やかなグル-ヴは、間違い無くプロ中のプロこそが出し得る、極上の演奏なのである。


彼等、4人のトップ・ミュ-ジシャンは、表現は悪いかも知れないが、お金を稼ごうと思ったら何とでもなる実力者揃いだ。だが、ギャラの為に自らの音楽家精神を犠牲にはしない。自分達で納得出来る音楽のみをプレイする。その結果が本作なのである。これは、本作をお聴きになれば充分に理解して戴けることと思う。演奏者本人が楽しんで出来る演奏というのは、お客さんにも伝わってくる。そして、演奏する側と聴く側とが一緒に、同じ楽しさ、喜び、時には悲しみなどの気分を共有する。それこそが、音楽の醍醐味であり、素晴らしさなのだ。彼等、garpの4人は、誰よりもそのことを理解している、素晴らしい音楽家達なのである。

櫻井隆章

Track List

1. 10cents a dance


2. Midnight Cowboy


3. Liquid City


4. Heads Up


5. Say No More


6. She needs me


All Songs Written by garp All Songs Arrangement by garp

Recording Data


Produced by garp


"garp" are
Drums : Naoya Hamada
Bass : Hideki Matsubara
Guitars : Masaki Matsubara
Keyboards : Hiroshi Shinkawa


Recorded at aosis Recording Studio Tokyo Ebisu
Engineered by Alex Kafu
Mixed by Alex Kafu at aosis Recording Studio Tokyo Ebisu
Mastered by Shigeo "MT" Miyamoto (FLAIR)


A&R : Chief/Hiroshi Kurihara(Victor Entertainment,Inc.)
A&R : Akihiro Harada(Victor Entertainment,Inc.)
Market Planning : Yasuo Masubuchi(Victor Entertainment,Inc.)
Recording Management : Keiko Tajima(naUta,Inc.)
Reiko Aoyama, Satoshi Hosogane(Cue & Co,Inc)
New Media Operator : Keisuke Kuori


Art Direction & Design : Eori Wakakuwa (image plant)
Photographs : Minoru Ogishima (D-CORD)
Editorial Coordination : Victor Design Center


aosis records Produced by Hiroshi Shinkawa & Toshiya Kamada


Executive Producer : Teruo Saegusa for Victor Entertainment,Inc.